今さら聞けない!建築基準法と建築士法の一部改正|資格試験にも影響アリ?!

こんにちは。建設資格アドバイザーの宮本です。

平成27年6月に施行された「建築基準法」と「建築士法」の一部改正。

今年(平成28年度)の1級建築士、2級建築士の資格試験にも影響のある改正です。

Contents

建築基準法|改正のポイント

合理的かつ実効性の高い制度を構築

①木造建築関連基準の見直し

大規模建築物、3階建ての学校などの建築物が木造で建てられる方向性の緩和と言える。

3,000㎡超+防火壁⇒準耐火構造等

3階建て・学校等⇒準耐火構造等

防火壁による延焼防止性能の検証

②合理的な建築基準制度の構築

これも、規制緩和の方向性で建築物の自由度が高まった内容と言える。

  1. 構造計算適合性判定制度の見直し
  2. 仮使用承認制度における民間活用
  3. 新技術の円滑な導入に向けた仕組み
  4. 容積率制限の合理化

③実効性の高い建築基準制度の構築

強化ということで強めの規制になると言える。

  1. 定期調査・検査報告制度の強化(平成28年6月予定)
  2. 建築物の事故等に関する調査体制の強化

国交省資料:「建築基準法の一部を改正する法律」の概要

法改正の必要性

建築物において木材利用や新技術導入を促進するための規制緩和、建築関連手続きの合理化、事故・災害対策の徹底など多様な社会経済的要請に的確に対応し、国民の安全・安心の確保と経済活性化を支える環境整備を推進することが急務。

改正の概要

■木造建築関連基準の見直し[21条・27条]

木材の利用を促進するため、耐火構造としなければいけない3階建ての学校等について、実大火災実験等により得られた新たな知見に基づき、一定の防火措置を講じた場合には準耐火構造等にできることとする。

■合理的な建築基準制度の構築

1.構造計算適合性判定制度の見直し[6条の3等]
  1. 建築主が、審査者や申請時期を選択できるよう、指定構造計算適合性判定機関等へ直接申請できることとする。【施行日:平成27年6月1日】
  2. 比較的容易な構造計算について、十分な能力を有する者が審査する場合には、構造計算適合性判定の対象外とする。【施行日:平成27年6月1日】
2.指定確認検査機関等による仮使用認定事務の創設[7条の6等]

特定行政庁等のみが承認することができる工事中の建築物の仮使用について、一定の安全上の要件を満たす場合には、指定確認検査機関が認めたときは仮使用できることとする。【施行日:平成27年6月1日】

3.新技術の円滑な導入に向けた仕組み[38条等]

現行の建築基準では対応できない新建築材料や新技術について、国土交通大臣の認定制度を創設し、それらの円滑な導入を促進する。【施行日:平成27年6月1日(準備行為を措置)】

4.容積率制限の合理化[52条]
  1. 容積率の算定に当たりエレベーターの昇降路の部分の床面積を延べ面積に算入しないこととする。【施行日:平成26年7月1日】
  2. 住宅の容積率の算定に当たり地下室の床面積を延べ面積に算入しない特例を、老人ホーム等についても適用する。【施行日:平成27年6月1日】

■実効性の高い建築基準制度の構築

1.定期調査・検査報告制度の強化[12条~12条の3]

定期調査・検査の対象の見直し防火設備等に関する検査の徹底や、定期調査・検査の資格者に対する監督の強化等を図ることとする。【施行日:公布後2年以内】

2.建築物の事故等に対する調査体制の強化[15条の2等]
  • 建築物においてエレベーター事故や災害等が発生した場合に国が自ら、必要な調査を行えることとする。
  • 国及び特定行政庁において、建築設備等の製造者等に対する調査を実施できるよう調査権限を充実する。【施行日:平成27年6月1日】

 

参考URL:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000071.html

 

建築士法|改正のポイント

書面による契約締結の義務化

延べ面積300㎡を超える新築に係るもの。

従来は、①契約前に重要事項説明 ⇒ ②契約の後に書面の交付 ※これが契約締結と勘違いしている。

①と②の期間でのトラブルを避けるため、①契約の前に重要事項説明 ⇒ ②契約の際に書面による契約締結が義務化となった。

延べ面積300㎡を超える新築の一括再委託の禁止

【改正前】⇒ 階数3以上、かつ、床面積1,000㎡以上の共同住宅の新築工事は一括再委託の禁止

【改正後】⇒ 延べ面積300㎡を超える建築物の新築工事は一括再委託の禁止

国交省資料:「建築士法の一部を改正する法律」の概要

法改正の必要性

建築物に関する現行の法制度では、設計等の業務を行う建築士事務所の契約責任が不明確であり、建築紛争の増大・長期化等につながっている。また、建築士なりすまし事案等が発生している。このため、建築物の設計・工事監理の業務の適正化及び建築主等への情報開示を充実する必要がある。

法改正の概要

【公布日:平成26年6月27日 施行日:平成27年6月25日】

1.書面による契約等による設計等の業の適正化

  1. 当事者が対等な立場で公正な契約を行う契約の原則を規定化。[22条3の2]
  2. 延べ面積300㎡を超える建築物について、書面による契約締結の義務化。[22条3の3]
  3. 延べ面積300㎡を超える建築物について、一括再委託の禁止。[24条の3]
  4. 国土交通大臣の定める報酬の基準に準拠した契約締結の努力義務化。[22条の3の4]
  5. 設計業務等に関する損害賠償保険の契約締結の努力義務化。[24条の9]

2.管理建築士の責務の明確化による設計等の業の適正化

  • 管理建築士の責務を下記の通り明確化。[24条]

・受託する業務等の選定 ・業務の実施者の選定 ・提携先等の選定 ・事務所の技術者の管理

  • 建築士事務所の開設者に対する管理建築士が述べる意見の尊重義務化。[24条]

3.免許証の提示等による情報開示の充実

  1. 建築主からの求めに応じた免許証提示の義務化。[19条の2]
  2. 建築士免許証の記載事項等(定期講習の受講履歴、顔写真)に変更があった場合の書換え規定の明確化。[5条等]

4.建築設備に係る業務の適正化

  1. 法律上に「建築設備士」の名称を規定化。[2条]
  2. 建築士が延べ面積2,000㎡を超える建築物の建築設備について建築設備士の意見を聴くことを努力義務化。[18条]

5.その他改正事項

  1. 建築士事務所に係る欠格要件及び取消事由に、開設者が暴力団員等であることを追加。[23条の4]
  2. 建築士に対する国土交通大臣・都道府県知事による調査権の新設。[10条の2]
  3. 建築士事務所の所属建築士を登録事項とし、変更した場合の届出義務化(3ヶ月以内)。[23条の5]

 

参考URL:http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_tk_000063.html

 

 

 建築士学科試験問題への影響

それでは、今回の法改正が建築士学科試験の問題にどのように影響するのでしょうか?代表的な過去の本試験問題を例に見てみます。

例1)「木造建築物の3階建て」の過去問題 学校(木造):H24・06

【問題】防火地域及び準防火地域以外の区域内における木造の中学校に関する次の記述のうち、建築基準法に適合しないものはどれか?

【正解肢】地上3階建てとしたので、主要構造部準耐火構造とし、各室に避難上有効なバルコニーを設置し、3階の各室外壁面に道に面して窓を設け、建築物の周囲に幅員3m以上の通路を設けた。

改正前 ⇒ 「☓」 であったが、改正後 ⇒ 「◯」 所定の防火措置をとれば、必ずしも耐火建築物でなくてもよい。

例2)「特殊建築物の制限」の過去問題 耐火建築物:H19・05

【問題】次の地上3階建ての建築物を新築する場合、建築基準法上、耐火建築物以外の建築物とすることができるものはどれか?ただし、いずれの建築物も各階を当該用途に供するものとし、防火地域及び準防火地域以外の地域、地区等の指定等はないものとする。

1.防火地域内における延べ面積100㎡の物品販売業を営む店舗

2.準防火地域内における延べ面積1,000㎡の美術館

3.主階が2階にある劇場で、客席の部分の床面積の合計が190㎡のもの

4.防火地域以外の区域内における延べ面積300㎡の共同住宅

改正前 ⇒ 正解は「4」でしたが、

改正後 ⇒ 正解は「1」「2」「3」「4」とすべてになる。

 

あくまでも例の一部です。この他にも改正が影響する問題はまだまだあります。

 

まとめ

「建築基準法」「建築士法」では、久しぶりに大きな改正がありました。過去問題集などで対策をする際には、あらかじめこの改正点を掴んでおきましょう!

ただし、法改正に関係のない科目や分野の方が圧倒的に多いわけなので、まずは得点のベースとなる学習を優先していきましょうね。

これから資格取得を目指す建築士受験者も、既に建築士を取っている方も「知らなかった」ではマズいですよ。

 

ABOUTこの記事をかいた人

【建設業専門】 資格取得・人材採用アドバイザー 1972年浜松市生まれ。建設資格アドバイザー歴は20年。資格取得を通じて地元で活躍する人材の育成を行い、これまで担当した受講生は延べ2,000人以上。現在は、建設資格アドバイザーのほかに、有資格者と地元企業のマッチングをはじめとした「人材採用コンサルティング」、「ニュースレター」を活用した販売促進支援などの活動を行っている。