2級建築士設計製図試験の結果&総評|平成28年度の合格率は53.1%

住宅と設計図

こんにちは(^o^) 建設資格アドバイザーの宮本です。

12月1日(木)に平成28年度の「2級建築士設計製図試験」の合格発表がありました。合格者数や合格率などの試験結果とあわせて、今年の設計製図試験はどんな試験だったのか?などをお伝えします。

平成28年度 2級建築士設計製図試験の結果

今年の2級建築士設計製図試験は、昨年より受験者数、合格者数ともに増加しました。合格率は0.9ポイント下がってはいますが、「53.1%」と例年並みの合格率という結果でした。

平成28年度の受験者数、合格者数、合格率

  H28年度 昨年度
受験者数 11,159人 9,456人
合格者数 5,920人 5,103人
合格率 53.1% 54.0%

※受験者数11,159人のうち、設計製図試験からの受験者は3,276人

過去5年間の合否判定結果の内訳

合格率(ランクⅠ)及びランクⅡ~Ⅳの分布は、下表のとおりです。

採点結果における「ランクⅠ=合格」となっています。

H28年度2級建築士設計製図試験のランク別内訳

今年は、ランクⅣが12.5%と高くなっており、図面の未完成や失格要件に該当する受験生の割合が多いことがわかります。

平成28年度 2級建築士設計製図の総評

まずは、今年の「設計課題」からおさらいしてみましょう。

平成28年度の設計課題

景勝地に建つ土間スペースのある週末住宅(木造2階建て)

要求図書については、1階平面図兼配置図、2階平面図、立面図、断面図、2階床伏図兼1階小屋伏図、部分詳細図(断面)、面積表、仕上表及び計画の要点等とする。(注)答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(部分詳細図(断面)については10ミリメートル)の方眼が与えられている。

平成24年の「設計製図の試験」の内容の見直しにより、建築物の設計全般に関する基本的な知識・能力等を確認するために、従来の設計課題における要求内容を概ね維持したうえで、設計の自由度を高めた出題となっています。要求図書については、平成26年と同様に「矩計図」に変わり「断面図」と「部分詳細図(断面)」が要求されました。

課題の概要

今年の課題では、主なテーマは下記のとおりでした。

  1. 敷地内の建設用地に対する建物の配置
  2. 居間、玄関・土間スペース、吹抜けの連続した空間計画
  3. ゲストルームへの動線、独立性の配慮
  4. 屋内自動車車庫の計画

敷地は、北側道路で、周りを樹林に囲まれ、南側に傾斜している設定でした。その中に整形(16m×16m)な建設用地が指定され、建物は配置しやすい条件でした。屋外施設の要求も少なく、「屋外テラス」と「屋外駐車スペース」のみでしたので、建物の配置に関しては特に難しい条件は無く、問題なかったと思われます。

課題のテーマである「玄関・土間スペース」を中心とした「居間」との一体的利用、「居間上部吹抜け」と「2階部分」の立体的なつながり、「屋内自動車車庫」との行き来、「ゲストルーム」の独立性の配慮、さらに「2階浴室」の面積及び南面指定等、高い空間構成力が求められる試験でした。

設計のポイント

今年の設計課題のポイントを整理すると次のようになります。

◆建設用地内の建物の配置計画
・建設用地境界線を意識した建築可能範囲の設定

◆居間、玄関・土間スペース、吹抜けの連続した空間計画
・玄関・土間スペースの形状
・土間スペースと居間の一体的な計画
・居間上部の吹抜けの計画
・吹抜けと2階部分とのつながり

◆ゲストルームへの動線、独立性の配慮
・ゲストルームとの行き来
・専用の水廻りに直接行き来できるか

◆屋内自動車車庫の計画
・屋内で直接行き来できるか

◆延べ面積の指定
・指定された延べ面積「160 ㎡以上、190 ㎡以下」で計画できたか
※指定延べ面積違反は失格

◆断面図や部分詳細図(断面)の切断位置指定
・特記事項を正確に読み、指定されたとおりに適切に表現できたか

◆計画の要点等の記述(箇条書き)
①玄関・土間スペースの計画について、工夫した点
②ゲストルームの計画について、工夫した点
③眺望に関して、計画上配慮した点
・自分のプランと記述内容が合致しているか

平成28年度 合否を分けた採点の重要項目

採点のポイントと大減点項目と思われる点を挙げてみましょう。

■主な失格項目
①木造2階建てでない
②要求図書のうち1面以上未完成
③図面相互の重大な不適合(上下階の不整合等)
④延べ面積違反(160㎡以上、190㎡以下)
⑤要求室の欠落及び設置階違反
1階:玄関・土間スペース、居間・食事室・台所(これら3室を1室又は2室にまとめてもよい)、ゲストルーム、屋内自動車車庫
2階:夫婦寝室、子ども室、浴室
⑥階段の欠落

■課題の特色に対する大減点項目
①玄関と土間スペースを一体的に計画していない
②土間スペースと居間が一体的に使用できない
③居間を南側に配置していない、居間に吹抜けを設けていない
④浴室を南側に配置していない
⑤構造計画上の不備(伏図、部分詳細図等に関する知識不足)

以上が合否を分けた採点のポイントと考えられます。

来年度に向けての対策として

今年の試験で「ランクⅡ~Ⅳ」だった受験者は、次の点に留意して学習を進めましょう。

ランクⅡ:更に作図の正確性や表現力、平面計画と構造計画の精度を上げる学習

ランクⅢ:設計条件から、課題の特色となる設計条件を整理する力、及び構造計画をより意識した学習

ランクⅣ:時間内に完成させる製図力、表現力の養成が必要で、それらを実現させるためには、まず、木構造をしっかり理解し、そのうえで、平面計画と構造計画を一体的に計画する基本手順をしっかりと身につける学習

図面・構造の理解なくして作図のスピードを上げることはできません。合理的にプランニングを行う 能力を高めてスピードを上げることが、適正な作図時間を確保することにつながります。

平成29年度2級建築士設計製図試験で合格を確実にするための学習ポイント

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1.平成29年の設計課題も本年と同様に「木造課題」が想定される

木造課題は、図面の作図量と図面相互の整合性がポイントとなります。平面図の他に伏図や部分詳細図、断面図、立面図等が要求され図面密度も高く、かなり作図量が多くなります。計画面では、「ゾーニング・動線計画」、「屋外施設との関わり」の他、「適宜とされる面積設定」や「計画の要点等の記述」など、学科試験の際に学習した内容を応用する力も必要になります。

2.課題発表までの期間にやれることは、計画力と作図力をつけること

計画力においては、プランニングがポイントとなります。自由度の高い条件設定のなかで、家具等を 考慮し、適切な居室の空間構成を把握し、さらに適切な動線計画のもと建物全体を計画する必要があります。作図力においては、課題テーマが発表される6月上旬ごろまでに一式図を3時間程度で完成できる能力を身につけることが、合格への近道です。作図力をつけることで、設計課題発表後は、作図から計画にウエイトを置く学習で、当年度課題の対応能力を身につけることができます。

3.木構造に対する知識の強化が不可欠

作図を全体的に早くするためには、木構造に対する知識の強化が不可欠です。特に、矩計図(又は部分詳細図)や伏図は架構計画などの構造に対する知識に加え、仕上材料等に対する知識も必要になります。

まとめ

今年の2級建築士設計製図試験の結果を見ると、合格率等はほぼ例年通りに推移しましたが、試験として要求されるレベルが上っている傾向が続いています。

2級建築士の受験者層からみても「要求図面の多さ=作図力」「設計の自由度が高い=計画力」といった部分で、実務経験が少ないことや手書きでの作図経験がない(少ない)ことがハンデとなっていることは確かで、しっかりと対策をしなければ難しい試験であるといえます。

毎年合格発表時には、試験元(公益財団法人建築技術教育普及センター)から、「合格者の主な属性」という参考データが公表されています。

昨年に引き続き、合格者の比率では女性が「34.2%」と3分の1以上を占めています。受験資格別では「学歴のみ」が69.9%と約7割を占めています。その他では、職域別→「建設会社・工務店・大工」が40.9%、職務内容別→「建築設計」が30.5%、年齢別→「24才以下」が46.4%という結果でした。

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【建設業専門】 資格取得・人材採用アドバイザー 1972年浜松市生まれ。建設資格アドバイザー歴は20年。資格取得を通じて地元で活躍する人材の育成を行い、これまで担当した受講生は延べ2,000人以上。現在は、建設資格アドバイザーのほかに、有資格者と地元企業のマッチングをはじめとした「人材採用コンサルティング」、「ニュースレター」を活用した販売促進支援などの活動を行っている。